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2014
01.25

[1/25] 暗い洞窟で呪文を唱える…(お題)

Category: 小話
お題でシーン描写練習 http://shindanmaker.com/422584
書きor描きたいキャラ名を入力して下さい。複数(例:◯◯と××)やカップリング名でもOK。お題が出てきたら、文章or絵でかいてみましょう。日々練習!

【お題】暗い洞窟で/呪文を唱える、[四人]のシーンをかきましょう。


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 一寸先は闇の暗闇の中。
「ラルカヴィ=テイアレイス=フィユデルルゲ、
 スト・ラザーア=フィユデゲ、
 ルルン・リリジェビュム、
 ファラディッヴィ=トルア、
 コルオナッン・ハリゼア=フィユデゲ」
 一人の男の歌うような発声が、迷いのない言葉の繋がりとなって暗い洞窟内に響き渡っていた。
 男は、まさか、自分が発している言葉が、身内以外の「部外者」にばっちり聞かれているなんて思ってもいないだろう。しかも「部外者」は、実はこの場に四人(も)いるのだ。
 四人は息を殺し――音を立てないようにゆっくりとした呼吸を心がけ、気配を消して完全に暗闇の中に溶け込んでいた。男の声を聞きながら、キリアは右手のペンと、左手の手帳の感触を感じていた。
(……うん、わかってた)
 キリアは天を仰いだがそこには黒い闇があるばかりだった。
(案の定というか何というか……。真っ暗で、メモなんかとれやしないじゃない)
 ギシギシ……と、何か固い物と固い物が擦《こす》れるような音がした。そして、停滞していた冷んやりとした空気が、動き出す。この場が一瞬、薄明かりに照らし出される。
 男が、明るい方へ歩みを進めたようだった。一人分の足音が耳に届き、すぐに遠ざかっていく。再び、ギシギシと何かがきしむ音。そしてあたりは、再び闇に包まれる。
 四人は少しの間、暗闇の中で息を詰めて様子をうかがっていたが、しばらく待っても何も起こりそうにないので、バートはわざとらしく咳払いをしてみた。続いて、サラが「ううーん」とか言いながら大きく伸びをする。それを合図に、リィルが手持ちの虫籠の蓋を開けた。点灯蛍が四匹、羽ばたいて飛び立つ。点灯蛍たちは上空でゆっくりと飛び回りながら、周囲の岩と四人の表情を照らし出す。
「さすが、ウィンズムの情報は正確ね」
 キリアは歩いて、先ほど男が立っていたと思われる位置に立った。バート、リィル、サラの三人もキリアに続く。
「つまり、さっきの男が呪文?みたいなのを唱えて、この岩の扉が開いたと」
 キリアは手を伸ばして、目の前の岩の壁をコンコンとノックしてみた。一見、ただの岩の壁で、ここは洞窟の再奥、行き止まりのように見える。しかし、先ほど男がやたら長ったらしい呪文を唱えると、この岩の壁が横にスライドして、扉みたいに開いたのだ。扉の奥には灯りに照らされた地下廊下みたいな通路が見えた。男は中――ウィンズムの情報どおりなら噂の盗賊団のアジト――に入っていき、すぐに扉は閉まってしまったのだが。
「さて……。問題はこの後、どうするかなんだけど」
 キリアはバート、リィル、サラの顔を見渡した。
「んー、まあ、決定的瞬間まで見ちまって、ここで引き返すってわけにはいかねーよな」
 とバートが言うと、
「そうね! 呪文で開く扉なんておとぎ話みたい……。ロマンティックね」
 うっとりと言うサラの言葉は聞き流し、
「私だってできることなら潜入操作を続行したいんだけどね」
 キリアはふうと息をつく。
「意外と手動で開いたりしないかな? 呪文らしきのはただのカモフラージュで」
「だとしたらどんなにラクか……。まあでもリィルがそう言うのなら一応。よし行けバート」
「おう、任せとけ!」
 リィルとキリアがバートに声援を送り、バートが張り切って素手で岩の扉を動かそうと試みるも、扉、というか岩の壁はぴくりとも動かなかった。念のためサラもチャレンジしてみたが、こちらも成果なしだった。
「やっぱりだめかー。まあ、そうだと思ってたけど」
「だったらやらせるなよ!」
 バートはどこからともなく取り出したルームスリッパでリィルの頭を思い切りはたいた。
「ちょ、『よし行けバート』って言ったのはキリア……」
「つうか!」
 と、バートはびしっと岩の扉(?)を指さしながら主張した。
「こんなまだるっこしいことしねーで! 最初から! さっきの男が呪文唱えて扉が開いた瞬間に男を背後から闇討ちして中に入っちまえば良かったんじゃねーの?」
「あー……」
 キリアとリィルとサラは顔を見合わせた。
「ああ、うん、それは……次の機会にね」
「次の機会っていつだよ!」
「だって正直あんな訳わかんない呪文で本当にこの岩が動くなんて! ぽかーんとしてるうちにあの男さっさと行っちゃうし完全にタイミング逃しちゃったというか悪かったわねごめんなさい次は上手くやるわよ!」
「ひどい……バートがキリアを泣かせたわ……」
 サラが悲しそうに言うと、バートとキリアは声を揃えて、
「「泣いてねーし!!」」
「つーかバート……。そう思ってたんならその場でさっさと行動に移しとけってーのー!」
 さっきのお返しとばかり、リィルはどこからともなく取り出した布ぞうり(エルザ姉お手製)でバートの頭を思い切りはたいてやった。それを見てキリアは多少スッキリするのだった。
(余談だが、この布ぞうりは、エルザがフィルお気に入りのくたびれた柄Tシャツをゴミと勘違いしてズタズタに引き裂いてリメイクしたもので、フィルの涙は暫く止まらなかったという。)

 *

「さて……。下手なコントはこのくらいにして」
 リィルはそう言って、暗闇を虫たちが照らす灯りの中、しずしずと岩の扉の前に進み出た。背後ではバートが「コントって……。俺はいつでも大真面目だぜ」と不満そうに呟いている。キリアとサラは聞き流している。
「こいつが今この場で開いたら、潜入捜査は続行できるってことだよな?」
「まあね。できれば……派手に暴れない方法で」
 一応『潜入捜査』なのよ?とキリアは釘を刺しておく。
「大丈夫。『物理』な方法じゃないから。……では」
 リィルは小さく息を吸うと、目を閉じて、
「ラルカヴィ=テイアレイス=フィユデルルゲ、
 スト・ラザーア=フィユデゲ、
 ルルン・リリジェビュム、
 ファラディッヴィ=トルア、
 コルオナッシ・ハリゼア=フィユデゲ」
 と、一気に唱えた。
「…………」
「…………」
「…………」
 バート、キリア、サラがそれぞれ絶句する中、
「……あれ?」
 リィルは目を開けて、首を傾げた。
「開かないね? んー、どっか言い間違えたかなあ」
「……リィルちゃん」
 サラが申し訳なさそうに、言いにくそうに口を開いた。サラはいつの間にか、左手に、ピンクの小花があしらわれた可愛らしい手帳を手にしていた。
「ほとんど完璧ですっごい惜しかったんだけど……最後から三番目の単語、『コルオナッシ』じゃなくて『コルオナッン』よ」
「あ……! そうかそうかそうだった。ごめんごめん。ご指摘ありがとうサラ」
「どういたしまして。でもすっごいわリィルちゃん、あんな長いフレーズを一発でほぼ完璧に……! あたし記憶力に自信ないからついついメモとっちゃうわ」

 ……あの暗闇の中でどうやって?とキリアは突っ込みたかったが、それを聞いたところで自分には真似できないだろうから突っ込まなくても良いかと諦めた。


 約2800字、原稿用紙換算8枚

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 この小話、実は元ネタがありまして。大昔にダンテ98というソフト(古!)で作っていたRPG版「Personal Quest」が元ネタなのですが、
『変な秘密結社ネタが大部分を占めるんですよ。(リィルが秘密の扉を開けるための長々とした呪文を一発で覚えてしまったりとか ← ネタ?)』 (大昔の四伝日記より)
 という…。まさに、コレが元ネタです(笑)
 「暗い洞窟で/呪文を唱える」というお題を出されちゃあ……もう↑しか思い浮かびませんでした(笑) 思いきりギャグで書くぞー!と張り切って書いていたら予想より長くなりました。楽しくてつい…。自己満足でスミマセン。。。

 ちなみに作中の呪文(?)生成には、
 http://generator.web.fc2.com/fname.htm
 こちらを使わせていただきました(笑) ありがとうございました。
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