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2014
08.24

[8/24] お題で小話

Category: 小話
  お題でシーン描写練習【2択Ver】
 shindanmaker.com/422649

 久しぶりにお題で小話。兄さんたちがグダグダしているだけの小話です。オチとか適当です。
 お題6作目。
 

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(これまでのあらすじ)
 野郎二人で大陸横断ヒッチハイク(時々徒歩)の旅を続けるフィルとエンリッジ。今日も今日とて「ジャンケンで負けた方が荷物持ち」ゲームで遊んでいた二人だったが、炎天下の中、ついに、(負け続けの)フィルが動けなくなってしまい……?(適当)

 *

 情けないことに、フィルは座り込んでいた。思いきり道端に。交通量はそれなりにあった。ほとんどが車だったので、一瞬で通り過ぎ去ってくれているのが幸いだった。車は道端の二人に気を留めることもなく、次々と追い越していく。今のところ、徒歩で通りかかる人には行き合っていない。
(情けない……。恥ずかしい……)
 照りつける日差しは、目深にかぶった紺色の野球帽が少しは軽減してくれている。地面に落ちている自身の影は濃い。草の香りが辺りに満ちている。
「おーい。フィルー。大丈夫かー? おーい」
 頭上からのん気な声が降ってくる。彼のことだから本気で心配してくれているのだろうけど、声はどこまでものん気だった。
「あー……。けっこうだいじょぶだけど……なんか、頭がくらくらして、目の前に星がちかちかしてる感じ……あと、なんか手足がしびれて」
 と言いながらフラフラと立ち上がったフィルだったが、エンリッジに笑顔で制された。
「無理しなくて良いからな、ほら、水」
 再び座り込んだフィルに、ペットボトルの「谷川のおいしい水」が差し出される。
「ああ……悪いな……」
 フィルは受け取ってごくごくと飲んだ。ぬるかったが美味しかった。生き返ったー、と思いながら、ふう、と息をついて顔を上げる。
「なあ、フィル」
 エンリッジが話しかけてきた。
「ん?」
「思ったんだけど。一応これ、ヒッチハイクの旅なんだし。そろそろ白タク拾ったって良いんだぜ。別に徒歩でなくたって」
「いーや」
 フィルは首を振った。
「せっかくの『地方一川幅の広い大河にかかる橋』、やっぱり自分の足で歩いて渡らないと。広さが実感できないし」
 そして弟たちへの土産話にするんだ、とフィルは遠い目をしながら言う。
「『地方一川幅の広い大河にかかる橋』、か……」
 エンリッジは今まで歩いてきた方向と、これから進むべき方向を見た。
 確かに、ここは橋の上だった。多分。対向二車線の広めの車道に、縁石で仕切られた歩道。フィルは、橋の欄干にもたれかかって、狭い歩道をふさぐように座り込んでいた(迷惑)。
『地方一川幅の広い大河にかかる橋』
 確かに、観光案内マップにはそう書かれていた。フィルもエンリッジも、目の前に広がる、向こう岸の見えないくらい広大な大河。そんな大河にかかる長い橋を渡るのだろうと想像していた。しかし、何かが違う……。フィルがもたれかかっている欄干の向こう、橋桁の下に広がる光景は、一面の緑の草原《くさはら》だった。所々、夏を象徴するかのような明るい黄色の花が風に揺れている。しかし、肝心の『大河』は? 橋の『起点』からそれなりの距離を歩いてきたはずなのに、河どころか水の流れる気配すら全くしない。これは一体どういうことなのだろう。
「まあ、確かに、(無駄に)長そうな橋だよなあ。この先も橋の終点全然見えねーし。ははっ」
「言いたいことはわかる……」
 フィルはため息をついて肩を落とした。少し嫌な予感がしていた。
「ううう、もしかして『地方一川幅の広い大河にかかる橋』って都市伝説だったのか? くっそーさっきの看板にはしっかり『ここから『地方一川幅の広い大河にかかる橋』起点』って書いてあったのに! 記念写真も撮ったのに! くっそー観光協会に騙された!」
「まあまあ、落ち込むなって。土産話っつーかネタにはなるだろ」
 悔しがるフィルを見ながら、だいぶ元気になったなとエンリッジが思っていると、
 ピッ
 と短く一回、車のクラクションが鳴った。フィルはハッとして顔を上げた。路肩に、ハザードランプを点灯させた白いパジェロ・イオが停まっていた。助手席側の窓がするすると上がった。
「フィル? まさかと思ったがやっぱりフィルか?」
 パジェロ・イオの中から男性の声がした。
「どーしたんだこんなところに座り込んで。暑さでバテたか?」
「サイナス?」
 フィルは知り合いの男性の名を叫んだ。叫びながら頭の中は疑問符で一杯だった。何故、彼《サイナス》がここに? そういえば彼は「今」はこの町に勤めているのだっけ?
「ま、とりあえず乗れ。話は乗ってからだ。そっちのヤツも」
 サイナスがフィルとエンリッジを交互に見ながら言った。ここ、あんま長く車停めらんねーし、と続ける。
「え、でも……」
 フィルが一瞬逡巡していると、
「おっ、いーのか? 悪いなあ」
 エンリッジは早速、良い笑顔でパジェロ・イオの後部座席のドアに手をかけていた。フィルは焦った。
「うおいっ。エンリッジ、サイナスと初対面だよな? なんでいきなりそんなにフレンドリーなんだ!」
「フィル、コイツは?」
 サイナスが尋ねてくる。
「ああ、コイツは俺の友人で、」
「どうも。お噂はかねがね」
 エンリッジは笑顔で後部座席にしっかりと収まってしまっていた。フィルも慌てて助手席に滑り込む。助手席のドアをバタンと閉めて。シートベルトの金具をカチッとはめ込み。
「長話は後だ、じゃ、行くぞ」
 と言って、サイナスがパジェロ・イオを発進させた。

 *

 数分後。
「やっぱ車だとはええなあ……」
 フィル、エンリッジ、サイナスの三人は、ドライブインに車を停めて、セルフサービスの休憩所でドリンクを買って窓際の席についていた。
「早すぎて何か良くわかんなかったな。結局、橋は長かったけど大河なんて渡ったっけか?」
「田舎の普通の小川みたいな川なら渡ったような」
「うーん、後で観光協会に問い合わせてみるか」
「……たぶん、ネットで調べたほうが早いと思うぜ……」
 サイナスがスプライトを飲みながらボソッと呟いた。
「その口振りだと……あんま突っ込んじゃいけない話題なのかな」
「いや、別に……少なくとも俺はどっちでも良いっつーか。説明するのめんどいしな」
「しかし本当に助かったよ。ありがとうな。あっ、ドリンク代は奢らせてくれ」
 エンリッジはサイナスに深々と頭を下げた。
「いーっていーって。巡回中にたまたま通りかかっただけだし。なんか見覚えのある野球帽が見えたからさ」
「この野球帽で俺だってわかったのか? 良く覚えてたな」
 フィルは最後にサイナスに会ったのはいつだったっけ、と記憶を辿ってみた。そのとき自分はこの野球帽をかぶっていたのだろうか。野球帽……野球……? 野球拳……?
「…………」
 何か変な思い出を思い出しそうになってしまったので、フィルは記憶の検索を中断した。
「まっ、本当に偶然なんだが。久しぶりに会えて嬉しいぜ、フィル」
「俺もだよサイナス。……あ、エンリッジは初対面だよな。彼はサイナスっていって」
「ああ、お噂はかねがね」
 とエンリッジが言うと、サイナスは「ん?」という顔をした。
「車の中でも聞いたけど、何だよ『噂』って。俺のこと知ってんのか?」
「ああ」
 エンリッジはしっかりとうなずいて、
「リネッタ=アストグラードの兄貴だよな? えーと……『なっちゃん』?」
「誰がなっちゃんだーーー!!」
 サイナスが吠えた。
「果汁百パーセントじゃねーんだぞ! フィルが本名で紹介してんだから本名で呼べよ! つーかどこで知ったんだよそのあだ名」
「いいじゃねーか。かわいいあだ名で」
「大の男がかわいいあだ名とか大問題だろーが!」
 エンリッジは悪気の無い瞳でにこにこしている。一方、サイナスはそのあだ名(?)を気に入っていないらしく、ぶち切れ寸前の様子。フィルは二人を交互に眺めて、はあ、とため息をついた。

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  【お題】夏の大河にかかる橋で/兄さんズが
 A:あだ名で呼ぶ / B:座りこむ
 シーンをかきましょう。
 shindanmaker.com/422649

 リハビリなので好き勝手書きました~(笑)
 この謎のトリオについては、大昔、らくがきマンガでグダらせてたなあ、と思い出しつつ。
 [四伝らくがき] - このページの真ん中らへん

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