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2016
02.17

[2/17] 冒険者のお仕事【承その1】

Category: 小話
 タイトル変わってますが お気になさらず(笑) どっちにしろ仮タイトルです。
 前回の前編が1記事にしては長すぎたので、後編を2回にわけてみることにしました。
 → 2/17、再構成して前中後編の3部作(?)になりました。
 これは「中編」です。前回UPした「後編1」に追記あります。


 副題「悪ノリ兄さんたちがキャンプ場で大騒ぎするだけの話」

 ちなみに…悪ノリっつーか、思いきり JOSOU ネタです…それでもよろしければ…
 なんかほんと色々とすみません。書いてるときは楽しかったです。
 

---

「――というわけで、この作戦の成否はフィルにかかっている。フィル、頼んだぞ!」
 サイナスの長々とした、そうでもないような演説が終わった。エンリッジはサイナスの説明にうんうんと何度もうなずいていたが、当然、フィルは納得できなかった。
「あの、無駄かもしれないけど一応抵抗させてくれ。『なんで俺なんだ!』」
 フィルが叫ぶと、
「だってお前遅刻したじゃん。実用的な罰ゲームだと思ってくれれば」
 サイナスに無表情で言い返され、うっ、とフィルは反論に詰まった。
「じゃ、じゃあ、罰ゲームは関係なし、というか別途受けるとして。ほら、エンリッジの方が適任じゃないかな? 俺より。髪長いし。どっちが絵になりそうか街行く人百人にアンケートとってみようぜ」
「あー。ソレも一応考えてみたんだが、」
 サイナスはちらりとエンリッジを見やって、
「コイツ、普通に似合いそうだからつまんねーなって思って」
 がくり、とフィルは肩を落とした。
「面白いから俺なのかよ! つーか、エンリッジも納得してねーで怒れよ!」
「ん? いやあ、まあ、俺はな。黙ってれば間違えられたことはあったから否定できねーんだよな。口開けば、まあわかってもらえるんだけど」
「ほら、コイツ慣れてると思ったんだよ。ちゃんとやったことも、あったりするんだろ」
「やったことはない」
「言い出しっぺ! 言い出しっぺの法則は?」
「それ以上の抵抗は見苦しいぞフィル! 男なら覚悟決めろ!」
 サイナスに男らしい声で怒鳴られて、フィルは最後の抵抗を諦めた。
(くそっ、俺のバカ! なんで、なんで今日に限って遅刻しちまったんだよ……!)
 フィルはタイミングの悪さを呪ったが……ふと、思った。このメンツで、俺が遅刻しなかったとして。一体誰が貧乏くじを引くことになったのだろうか、と。

 *

 時刻は昼過ぎ。三人とも、昼食は済ませてからキャンプ場に集合していた。討伐対象魔物『テナガケンエン』が、キャンプ場のバンガローに戻ってくるのは、日が落ちてから。それまで、ぶっちゃけヒマ……もとい、準備する時間は十分にあった。
 サイナスは一人で買い出しに出かけて行ってしまった。「ちょっくら行ってくるわ」と言って、フィルとエンリッジの返事も待たない勢いで飛び出して行ってしまったのだ。エンリッジも『準備』のため、外に出ていこうとしていた。フィルは一人で小屋に残っていても暇だと思い、「手伝うよ」と言ってエンリッジについて行くことにした。
 二人で森の中の小道を少し歩いて、土手を下って小さな沢に出た。日陰になっていて、水がちょろちょろと流れていて、じめっと湿っているところだった。あたり一面、背の低い、緑色の雑草が生い茂っていた。
「うん、これ。こういうとこに良く生えてるんだ」
 エンリッジは屈んで、雑草を一本引っこ抜いてフィルに見せた。
「この丸い葉っぱが三枚一組で四組ある、この草。これをひたすら摘んでくれ。はいビニール袋」
 二人は沢の上流方向と下流方向に別れて歩きだした。下を見ながら注意して歩いていると、時々、その特徴ある草が目に入ったので、すかさず摘んで小さなビニール袋に入れた。
 ビニール袋が適度に膨らんできたところで、フィルとエンリッジは合流してバンガローに戻った。エンリッジは、自分の荷物の中からすり鉢とすりこぎを取り出して、摘んできた葉っぱを入れてすりこぎで潰し始めた。フィルは(暇だったので)エンリッジのいつになく真剣な顔つきをぼーっと眺めていた。赤茶色の長髪を無造作に後ろで結んでいて、眉は薄く細く、穏やかな目つきでやわらかい印象の顔立ち――「中性的」というのとは少し違うのだが、黙っていれば、女性に見えないことも、ない。黙っていれば。しかしエンリッジがひとたび口を開けば、普通に男性の声で、男性の言葉遣い。女性に間違えようがなかった。
(サイナスの弟――リスティルさんっていったっけ。彼も髪長くて中性的だったよな。言葉遣いも丁寧だったしエンリッジよりは女性に見えるかも。しっかしサイナスと似てねー弟だよなあ……)
「やっぱり……妹系かな」
 突然、作業に没頭していたはずのエンリッジがフィルに話しかけてきた。
「はっ? 妹? 何が? 何だよ突然」
「あっいやあ、サイナスが今、買い出しに出かけてるじゃん。何買ってくるのかなって思って」
「くっそー楽しそうに言いやがって。着るの誰だと思ってるんだよ」
「フィルが妹系か……似合うかな?」
「知るか! そもそも『妹系』って何だよ」
「いや俺も良く知らない。適当に言ってみた。サイナスの趣味ってどんなんかなーと思って。あ、逆にフィルは何が着たいんだ?」
「何も着たくねー!」
 二人でそんなやりとりをしていると、やがて、サイナスが(上機嫌な様子で)帰ってきた。縦長の重そうな紙袋と、『ドン○ーホーク』のロゴ入り大袋を提げて。
「ド○キーまで行ってきたのか? まさか徒歩で?」
「いんや。管理人さんに二輪車借りた」
 エンリッジの問いに答えつつ、サイナスは二つの紙袋をテーブルの上に置いた。
「よーしフィル。選ばせてやる。どっちから開けたい?」
「じゃあ遠慮なく……ド○キじゃないほうで」
 サイナスは紙袋の中から、直方体の紙箱を取り出し、紙箱の上部を開けて赤ワインの大瓶を取り出した。
「まあ、これは安物なんだけどな。魔物に高級ワインの味なんてわかるわけねーし、十分だろ。アルコール度は気持ち高めのやつ選んでおいた。……そうだ。後で管理人さんにグラスとお盆借りてこよう」
 ふむふむ……と、フィルとエンリッジはうなずいた。
「じゃ、次はこっち開けよう」
「なんか緊張するな……」
 エンリッジがつぶやき、なんでお前が緊張するんだよ、とブツブツ言いながら、サイナスはド○キの大袋を開けて、中身を取り出した。
 中から出てきたものは、
・紺色のブレザー(エンブレム付き)
・白いブラウス
・赤と黒のチェックのリボンタイ
・赤と黒のチェックのプリーツスカート
・黒のハイソックス
・黒のローファー
((うわあ…………コイツガチだ…………))
 サイナスの本気を見てしまい、フィルとエンリッジは絶句するしかなかった。
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